幸せを呼ぶ虹色の蝶
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ボロを纏い裸足で途方に暮れた女が一人、さめざめと泣いている。
そこを通りかかった老人が、女に話しかけた。
「どうしたのですか?」
すると女は顔を上げ、こう答えた。
「私はもう長い間ずっと、幸せを呼ぶ虹色の蝶を追って旅をしています。
捕まえた人には永遠の幸福が訪れるという言い伝えがあるからです。
旅の途中、何度かその蝶を見かけはしました。
でも、私が近づくと必ず逃げてしまって、どんなに頑張っても捕まえることができないのです。
もう疲れ果てて、クタクタです」
それを聞いた老人は笑いながら言った。
「お嬢さん、あんたはすっかり勘違いをしているようだ。
私もその蝶のことは聞いたことがあるよ。
だが、その蝶に誰かを幸せにする力なんてありゃしない。
ただ、ヤツは人の幸せを嗅ぎつけてやってくるだけなんだ。
どうやらそういう不思議な能力があるらしい。
だから、その蝶を見つけたいのなら、必死で探すのをやめて、ただ幸せでいたらいい。
そうしたら、蝶は必ずやってくるだろうから」
「何てこと、私はあべこべに考えていたのね!
でも、一体どうしたら幸せでいられるのかしら?
そもそも、それがわらないから私は蝶を追い始めたというのに・・・」
「おいおい、あんたはまたあべこべに考えているよ。
幸せになろうとするんじゃない、不幸せでいることをやめるんだ。
そうしたら、幸せなんて本当はいつでもそこにあったと気づくだろうよ」
「不幸せをやめる? どうやって?」
「まあ、いいから、ここへ座ってお茶でも一杯飲みなさい」
「でも・・・」
「いいから、さあ」
と、老人は自分の水筒の蓋を開けて、彼女に差し出した。
女は仕方なく、一口だけ飲んだ。
「美味しい!」
「だろう?」
「こんなに美味しいお茶を飲んだのはいつぶりかしら?
ねえ、このお茶はどこで買ってどうやって淹れたの?」
老人は笑った。
「これはその辺で売っている何の変哲もないお茶だが、今のあんたにはきっと美味いはずさ」
「どうして?」
「蝶を追いかけるのをやめて、ただ本当にお茶を飲んでいるからだよ」
「どういうこと?」
「何かを追いかけるのをやめて、ただ本当に生きてみなさい。
何であれ、逃げずに目の前のこととよーく向き合って味わってみなさい。
そうすりゃ、幸せの意味なんてすぐにわかるはずだから」
女は、しばらく考え込んでいたが、やがて、
「ごめんなさい。
やっぱり、よくわからないわ。
でも、何だか少しホッとした気分。
おじいさん、ありがとう」
と礼を言った。
「それでいい。
ほら、見てごらん」
と、老人が指差した方向を見ると、
「蝶だわ!」
追っても追ってもろくに近づくことさえ叶わなかった、あの虹色の蝶が今、どこからともなくヒラヒラと飛んできて、女の膝に静かにとまった。
女は、本当は最初からずっと自分が幸せだったことを急に思い出して、また泣いた。
ようやく気がついたのだ。
幸せとは何かを手に入れることではなく、ただ自分を苦しめ不幸せにしているこの思いを手放すことだったのだと。
彼女を苦しめ不幸せにしてきた、この虹色の蝶への不毛な思いを。
何かを手に入れて幸せになる訳ではない。
ただ不幸せでいることをやめて幸せでいる時に、それを気づかせてくれる人やモノが目の前に現れるだけなのだ。
気づいてみれば、とても単純なことだった。
女は、震える指先でそっと蝶に触れようとした。
「あ」
蝶は膝から飛び立ったが、それでも決して離れようとはせず、彼女のまわりをヒラヒラと優しく飛び続けていた。
いつまでも、いつまでも・・・
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- コメント (1)
本当の幸せは自分の中にあるという事を、いつも忘れずに生きていきたいですね。
どうもありがとうございます。